Aya diary

はじめまして、こんにちは!つらつら私が思ったことを書いていくブログです

猫が、子猫を拾ってきた

不思議な出会いだった。

6月1日快晴、30℃を超える夏日になる予定だった。いつものように、洗い立ての洗濯物を持って、庭に出た。べちゃっとしたような灰色の物体が2メートルほど先の日だまりに見えた。最初は、死んだ鼠だと思った。無意識に悲鳴をあげていた。洗濯物を置いて、おそるおそる近づいていくと、鼠ではなく、生後数日の仔猫であることがわかった。柱の影に隠れていた成猫のトラが出てきて、私の目を見つめた。助けて、と言っているように感じた。

 

おそらくトラの子供ではない。何となく模様は似ているようにも見えたけれど、トラは1、2カ月前に出産したばかりだったし、ここ最近でお腹が大きくなった様子も見ていない。どこかの野良猫の子供かもしれない。猫が猫を拾ってくるなんて聞いたことがなかったけれど、どうにかしなければ、と思った。子猫はまだ、生きていた。目は開いていなかったけれど、小さい背中が息をしていた。持ち上げると、「みゅーみゅー」鳴いたので、みゅーと呼びはじめた。みゅーを、タオルを敷いたダンボールに保護した。

 

育てていた3匹の子猫を里子に出したばかりだったので、トラは寂しかったのかもしれない。トラは、自分の子供ではない、みゅーを舐めたり、ミルクをあげはじめた。

 

f:id:Aya_jpn:20200614033346j:image

 

みゅーを拾ってきた頃、トラは、これまた別の黒猫が産んだ三毛猫のトロを育てていた。トロを産んだ黒猫は、生後1カ月を過ぎると、トロの面倒をみなくなった。その代わりをするように、トラは三毛猫のトロにミルクをあげたり、庭に出て木登りを教えたりしていた。おてんばのトロを、トラはいつも見守っていた。

 

f:id:Aya_jpn:20200614034041j:image

 

これは、網戸を駆け上がってしまったトロを見守るトラ。

 

トラのミルクが本当に出ているのかわからない。そして、おてんばのトロは、ミルクを飲んでいるみゅーを見ると、悪戯するようになった。飛び乗ったり、噛み付いたり、転がしたり、じゃれたり、蹴ったりした。見兼ねて、トロを引き剥がすと、トラが怒った。トラにとっては、みゅーよりも、先に面倒を見始めたトロの方が大切らしい。乳母猫のトラは、トロとみゅーの間に挟まれて、あっちに行ったり、こっちに行ったり、疲労困憊の様子だった。そこで、子猫用のミルクを買ってきて、私たち家族が、哺乳瓶でみゅーにミルクを与えるようになった。

 

f:id:Aya_jpn:20200614035424j:image

 

昼夜を問わず、2.3時間ごとにみゅーは「お腹が空いた」とよく鳴いた。毎日、夜中にウトウトしながらミルクを与えた。在宅勤務の会議をミュートにして、ミルクを与えた。食べていた自分のごはんを中断して、ミルクを与えた。いつもミルクを与える前後に排泄を促し、排泄物の処理にも追われた。

 

でもある夜中、仔猫のみゅーは死んだ。突然だった。悲痛な叫びを上げ続けるみゅーの身体をトラとトロは舐めた。急激に冷たくなっていく身体をあたためる為に私たち家族は、カイロと毛布を使って、さすった。あたたかいミルクを何度も口に運んだ。ダメだった。生後3週間くらいだった。小さな身体はそのまま冷たくなり、目は開かなくなった。目が開いて見えるようになってから、まだ1週間ほどしか経っていなかった。みゅーは、朝を迎えることができなかった。ごめん。ああすればよかった、こうした方がよかったのかもしれないと、後悔ばかり。君は何のために生まれてきたんだろう。君がいなくなってからも、どうやったら助け出せたのかって、何度も調べたり、考えたりしてしまう。トラ、ごめん。せっかくトラが助け出してきた命だったのに。託してくれただろう命だったのに。あまりにも短かった。助けられなかった。ごめんね。ただ、懺悔がしたかっただけなのかもしれない。言葉として残しておきたいというエゴなのかもしれない。すでに思い出になってしまった君へ。生まれてきてくれて、ありがとう。ミルクを飲んだ後、健やかに、幸せそうに眠る君の写真を見ながら、天国で幸せになってくれることを…祈るよ。

f:id:Aya_jpn:20200614043802j:image

f:id:Aya_jpn:20200614043812j:image