Aya diary

はじめまして、こんにちは!つらつら私が思ったことを書いていくブログです

「ワビサビ」の意味、説明できますか?

インド人の男の子から、

「ねえAya、千利休って知ってる…?」

と聞かれました。

「知ってるよ。お茶の人でしょ🍵」

と答えると、彼は目を丸くし、手を広げて大袈裟に言いました。

「お茶の人だって!?失礼すぎるよ!!」

どうやら、彼の日本ヲタク魂に火をつけてしまったようです…。私は困ったように言いました。

「違うの…?」

彼はやれやれ、というように首を横に振りました。

「お茶に関係してないってわけじゃないけどね、君の考えは浅すぎるよ…じゃあ『侘び寂び』って何か知っている…?」と質問を重ねられました。

「わ、わびさび…!?(もちろん言葉としては知っているけど、何て説明すればいいんだろう…。)」

間が持たなくなった私は、お決まりではありますが、

「あれだよね。よく外国人が『ワサビ』と間違えるやつでしょ」

と答えました。彼はニコリともしません。眉毛がピクッとなりました。求めている答えとは程遠い、そんな冗談が聞きたいんじゃない、という声が聞こえた気がしました。腕を組んで、椅子の背もたれに大仰に反り返っている彼を見て、私は溜息をひとつつきました。

「わかったよ、ごめん。つまらない冗談だった。わびさび……ワビサビでしょ…説明するのが難しいけど…何ていうのかな…静か、寂しさ、悲しさ、そこから感じる美しさ…そんな感じかな…」

私の言葉を聞くと、彼はだんだんと笑顔になっていきました。

「悪くない答えだね。本当に、馬鹿な冗談を言ってないで、君はちゃんと頭の使い方を覚えた方がいいよ。ともかく、君の言う通り、『侘び寂び』は、静か、寂しさ、悲しさ、そこに感じる美しさ。そういう美的感覚のひとつだね。でももっと重要なテーマがあるんだ。なんだかわかる…?」

相変わらず上から喋ってくる25歳ですが(私の方が2歳年上)、彼の方が物知りなので仕方ありません。そしてその内容に引き込まれていた私は正直に、わからない、と答えました。

彼は少し上の方を見ながら、

「"accept"だよ。不完全なものを認める心、受容、許容。完璧ではないものを美しいと感じる心なんだ。それを千利休は実践していたんだよ…。素晴らしいと思わない…?」

10人くらいの大学生が左隣で大声をあげて話している中、彼の周りだけ、静かな空気が流れた気がしました。薄味だな、と思っていた大戸屋のあんかけが、さっきよりも甘く感じました。

「"accept"、僕の人生のテーマだよ。ずっと完璧を求めてきた僕にとって、不完全なものを美しいと感じられる哲学は衝撃的なものだったんだ。完璧でない誰かや何かや自分を受け入れていくことが大切なんだって気がついた時、生まれ変わった気がしたんだよ」

私は深く、頷きました。

 

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